著者
森 章恵
出版者
東海大学
雑誌
紀要 : 東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
no.10, pp.59-68, 2004

本論稿は、障害者との舞台表現活動という未開拓な分野において、実際に活動をしている「西東京アクターズスクール」を事例に、エスノグラフィの手法を用いて記述し、資料として社会に提供すると共に、その分野の展望を拓くことを目的とした。又、この記述を通じて、舞台表現活動の特徴を明らかにした。その結果、舞台表現活動では、表現することに多くのエネルギーが費やされ、そのエネルギーの集約された「濃密」な場では、誰もが表現者として対等な関係性を築くこと、又そうした関係性には、「交感」とも言うべき身体的コミュニケーションが生起することが明らかとなった。障害者の表現には、「意外性とこっけいさとかっこよさ」を含むものが多く、障害者と舞台表現活動をすることは、既存の価値観を壊し、新しくてユニークな表現に出会える可能性が指摘できる。しかしながら、そうした場は大変稀少であり、その開拓が今後広く行われてゆくことが必要である。